休日の駅前はひどく賑やかだけど、一本裏道に入れば程々の人手になる。
必然的に、人混みの中堂々と入っていくのが躊躇われるような建物も軒を連ねていたりするわけで。

まじまじ見つめるのもなんだし、今は一緒に入る相手もいないし。
普段は目を留めることもない地元のラブホテル。
でも今、私の目はその入口に釘づけだった。

「うそ………」

見間違えようもない彼、恋い焦がれるその人が、扉の奥に消えていったのだ。
ボーイフレンドなのだろうか、数人の男の子たちを引き連れて。

どういう関係なんだろう。どんな話をするんだろう。気になって、気になって。
いくら何でも女一人で突入するわけにもいかなくて、でもその場を動けなくて。

途方に暮れかけていた、その時。
焦る私の視界に入ったのは、ついこの前学校で声をかけてきた男子生徒。
あの人と同じ不良グループの一員である彼だった。

――溺れる乙女は罵詈嗚呼をも掴む。後先考えず、勢いに任せて口を開く。

「ねえ、お願い。一緒に入って!」